通院時の付き添い支援‐ママに寄り添う

2014年、この夏からりく君の通院時の付き添い支援を始めました。 
(この内容は家族の方に見てもらって掲載しています)

支援までの経緯
りく君は現在2歳半の坊や。一人っ子。1歳で白血病と診断され、約半年入院し、その間、遊びのボランティアの支援を受ける。1歳半で退院。今年春、2歳で1歳半検診受診した。その際、1歳半の行動がひとつも出来ておらず、発達の遅れを指摘される。「子どもの発達に詳しい坂上先生に一度、見て欲しい」と相談を受ける。保育士の古賀恵子さんと親子のための発達相談日を設け、その結果、月に1度の通院時の付き添い支援を開始。


入院中にりく君とクリーンルームで遊ぶ古賀さん
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2014年7月17日 初回の付き添い 13:30~15:20 古賀 保育士
・小児科待合室のプレイコーナーで  
ママと小児科外来の待合室で1時半に待ち合わせをしました。待合室には小さなプレイコーナーがありますが、自分で椅子から降りてプレイコーナーへ行き、壁に貼った何色かの四角いクッションの真ん中にボタンのように小さな丸があり、一つずつ指で押して、へっこむのを楽しんでいました。パトカーと消防車の絵がついた椅子があり、私が指差して「パトカー ピーポーだね」「消防車ウーカンカンだね」というと「ピーポー」と真似ていました。「ピーポーって初めて言った」とママ。言葉らしきものは採血後の「イヤーイヤー」くらいだけど、大きな声のなん語でのおしゃべりは聞かれました。持って行ったアンパンマンのボールを出すと、上手に転がしたり受けとったりしていました。ママから引きはがされ大泣きの採血では、ママがどんなに切ないか…。採血室のそばで待っていたらママの顔が険しくみえました。終わって泣きじゃくりながら「イヤー」と言うりくくんをしっかり抱き止血をするママ。落ち着いたところで、児童公園に気分転換に移動しました。
・児童公園で
まずはブランコへ、しばらく乗っていました。「止まったらどうするかな?」押すのを止めて二人で見ていました。動かしてと要求はせず、私が「足をのばしてーまげてーってすると動くよ」と腕を使って のばしてまげて を見せたからかな?ですが、自分の足をバタバタさせていました。「滑り台しようか」と声かけすると、すんなり降りてきて、まずしゃがんで砂利いじり、嫌がらずに砂利に触れていました。
滑り台は8段くらいあり、結構高さがありましたが、登りは上手に手足を動かしてスイスイ登れます。滑るのは怖いのか、足をまげてつっぱりスピードが出ないようにしていました。「りくくんもう一回」と声をかけると応じていました。
 今日は砂利、小石、水に興味をもち、手を洗いに行くとぬれた手を地面に押し付け砂利だらけの手を見たり、手洗い場の下の排水溝の穴に砂利を落としポチャっと音がするのを繰り返したり、私が枯れ枝や、雑草の葉っぱをちぎり穴に落とすと同じようにやってみる模倣遊びが見られました。
時間になり、病院のそばで別れました。公園で遊び、病院に戻りおむつを替えて「今日もよく頑張ったね」のご褒美ケーキを食べ終わると、採血から2時間くらい、丁度診察の順番が来る時間になる。これが月一回診察日の流れだそうです。

付き添い支援開始理由
今年6月半ば、りく君ママから坂上宛てにメールがきました。メールには、りく君が一歳半検診をうけた際に言葉が出ない、笑わない、目が合わない、「お母さんが自閉症を心配されているならと、発達障害の子ども療育施設を紹介された。子どもの発達に詳しい坂上先生に一度みていただきたい、そういう内容でした。
翌週、保育士(ボランティア)の古賀さんと一緒に事務所近くの公園で会いました。お母さんの話をしっかり聞くには、子どもの遊び相手も必要だからです。
古賀さんは入院中にりく君と何度も遊んでいました。「元気そうね。りく君、髪の毛もふわふわ~、ふっくらしましたね!」、とママに話しかけました。りく君はブランコにまっしぐら。「ブランコが大好きで、30分でも乗っているんです」とママ。古賀さんが途中でママと交替して、りく君のお顔を見ながら、「い~ち、にい、さん、しい、ごお…じゅう」と歌いながら数字をかぞえてやりました。ブランコを大きく揺らしてもらって嬉しそう。ママが「ブランコを止めると手をぎゅっと握って、おりたがらないんです」。「だったら怒った顔もみたいねえ」、しばらくしてから止めてみました。そのとき、古賀さんが、りく君のアンヨの靴の上に小石を載せると、りく君は足を振って石を落としました。片方の足にも小石を載せてやると、同じことをしました。またやってと古賀さんにアンヨを差し出すりく君。古賀さんが小石をのせ、りく君が石を落とす。その一連の流れの中で、石を振り落すとき、古賀さんが「ぽろり」と言うと、それが大受け。「ぽろり」「ゲラゲラゲラ」「ぽろり」「ゲラゲラゲラ」、りく君、いつまでも笑いが止まりません。その様子を見た私が、「あんなに声を出して笑っているのに自閉症、心配なの?」するとママは「家では、こんな顔、見せないんですが…」

この日は、公園で40分ほど遊んで、その後、雨が降ってきたので事務所に移動しておしゃべりをしました。ママはまだ保育園や幼稚園に通えないこと、友達とめったに遊べず、子どものいない時間帯に、親子だけで遊んでいます、そんな話を伺いました。この日の夜、ママからメールをいただきました。
 本日は色々ご相談にのっていただき、ありがとうございました。
不安もあったので、りくを見ていただき、随分気持ちが楽になりました。


私たちは、ママの不安がりく君に影響しているのではないかと思いました。近所に祖父母もいない環境でこれまでのママの数々の不安を思うと、それは無理もありません。1歳にさしかかる年齢は、歩く、走る、食べる、お話する、そういう発達の著しい年齢ですが、そんな大切な時期に、個室で7か月も。感染症にかかりやすく、個室から出られない日々がありました。抗がん剤が投与されると髪がぜんぶ抜けてしまったり、吐き気や下痢の症状が出て、起き上がれないときもありました。こうした環境で子どもが順調に育つことがどんなに困難なことか。そのため、ボランティアはおもちゃ、お絵かき、型はめ、音の出る楽器、いろんな楽しい遊びを(ひとつひとつ丁寧に消毒をして)運びました。調子がよいときは、ママに「一人でコーヒー飲んできて、外の空気を吸ってゆっくりしてきて」と言います。具合の悪いときは、ママもそばにいて、話相手をしたりします。病院では子どもの遊び相手だけでなく、親の休息の支援も大事なことなのです。
高度医療の病院で深刻ながんの治療中の親子をボランティアがサポートできるのか?そう考える人がいるかもしれません。しかし、ボランティアは実に多様なスキルをもつ人々の集まりです。古賀さんは公立の保育園に36年勤務し、保育園の園長まで務めた方です。私も長年子育て支援の現場にいました。現役の保育士、幼稚園教諭などもいます。そういうプロが中心になって、保育士を目指す学生たちも活動に参加しています。闘病中からの関係があるからこそ、こんな厳しいときに、メールを頂いたのだと思います。私たちは、公園で遊んだ様子から、通院時の付き添い支援を申し出ることにしました。
後日、それをママに伝えると、次のような返事をいただきました。

 りくは採血の後、泣きすぎて目、泳いでるかも。毎回、採血の度、小児科中、響き渡るほどの大声で泣きます…。ご相談のって頂きたいですが、忙しい中、わざわざ来てもらうの、申し訳ないです…。だいたい13時30くらいには採血終え、それから結果でるまで二時間くらい待ちます。採血終わったら、病院にいると可哀想なのですぐ外に出て、近所の公園など散歩で時間潰します。もし、この間、遊んでいただけると嬉しいです。

 外来の日は、今でもドキドキします。りく、元気が目に見えるようになり、今こそ平気ですが、最初数ヵ月は結果聞くまで吐きそうだった…・

 再発の恐怖に怯える日々です。辛いです。 一日が終わるたびに、一日が始まるたびに、ああ、今日も健康でありがとう。と感謝しますが、ふと、いつかいなくなってしまうかもと、 言いようのない恐怖に涙することもあります。

こうしたママの思いに、退院したら、「ばんざい」とばかりはいえない病気のきびしさを教えられました。


はじめての付き添いをした日、ママからこんなメールをいただきました。
 7月17日こんにちは、いつも、ありがとうございます。古賀さんからも、別れ際、お母さんが良かったらまた外来の時に一緒に遊びますと、言っていただき嬉しかったです。昨日、採血前、小児科のプレイスペースで遊んでいるとき、古賀さんがりくにピーポーピーポーだねと、話しかけるとりく、ピーポーピーポー初めてと言いました。早速、家に帰り音の鳴るパトカー 出してピーポーピーポーだねと、指差してみると、ピーポーピーポーと言いながら車遊びしてました。パトカー=ピーポーピーポーで繋がりました。あまり、これまで車では遊ばなかったこともあり安心しました。りくにも変化があったので、お言葉に甘えて次回も連絡してみようかと考えてました。次回は21日です。来月になったらまた、古賀さんに連絡してみます。今日は近所の公園で砂遊びしました。ブランコより長かったのは初めてでした。ゆっくりですが、確実に成長してると思い安心しました。
2回目の付き添いの日は、8月21日でした。この日のママからのメールでは
 今日は、暑いなか、お付き合い頂きありがとうございます。
りくは再発なく、今回も無事クリアしました。しかし、免疫数値IGGはいまだに上がらず…・人混みは避けるように言われました。この一歩が長いです。あの後、小児科外来のプレイスペースで爆睡・・20分で起こされ、泣くかと思いきやご機嫌で、先生のもしもしもお口あーんも、素直にやってました。来月は9月18日木曜日となりました。また、お会いできたら嬉しいです。


「採血から検査結果の診察までの2時間くらいが一人だととても長くて、でも一緒にいてくれる方がいると時間が過ぎるのが早く感じました」とママはおっしゃいました。
小児がんの子どもの退院後の問題をりく君親子を通して、あらためて教えられています。行政にも病気の子どもの現状や退院後の支援の理解を求めていく必要を感じています。 
保育士・社会福祉士 坂上和子

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